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2017/07
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背中を押すエール
 カンテ歴は一丁前にあるのに、「声」だけがカンテじゃない。録音聴いても自分の
唄ってるDVD見ても、「日本人女性が真似してるだけ」に聴こえてしょうがない。あま
りにも自分の声にコンプレックスが大きすぎて唄うことが怖くてたまらなくなった。
傷心旅行のつもりでスペインに旅立った。何日かして異国での暮らしにも慣れ、友達
も少しずつ増えてきたある週末の夜、行きつけのバルで友達と飲んでいると、ギター
を持った人達が現われ、ちょっとしたフィエスタ状態になった。しばらく時間が経ち、
友達のひとりが「PASTORAも唄ってみろよ!」と言う。自分にできるのか? このフラ
メンコの産まれた土地で唄っていいのか? フラメンコの声を持たない日本人の自分
がそんな大それたことをしていいのか? 逡巡している自分を友達が舞台へと引き上げ
る。ギタリストは既にカポをあげて待っている。
……ブレリアを一節、二節。唄い終わった私の耳に聞こえてきたのは大きな拍手だった。
たくさんの「ゥオレー!」ももらった。なんだなんだ? と戸惑う私にギタリストさん
がこれからも頑張れとハグしてきた。このおかしな声のどこがよかったの? 思い切っ
て欠点をさらけ出した度胸への「ゥオレー!」だったのか? よくわからなかったが沢
山の拍手は気持ちよかった。声は一生変わることはない。でもこれでいいんだ。これが
いいのだ! 唄が好きだから唄い続けたい。それだけ。あれからも立ち止りそうになる
と、あの拍手の嵐が私の背中を押してくれる。

(神奈川県・PASTORA/年齢秘密)

PASTORA


※パセオフラメンコ4月号掲載作品
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