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2017/05
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私だけじゃなかったの?
 レッスンで鏡を見るのが嫌いだった。
腕は短い、ウエストも細くない、マノが美しくない、体の動きがぎこちない。
自分以外は皆上手に見えた。私だけがいつまでも上達しない。いつしか私には、
人に隠れてレッスンを受ける癖がついていた。発表会には一度も出ることなく、
裏方を手伝った。その方が私に合っていた。
そんな私が先日、10年目にして初めて舞台に立った。仲良くなった友人が強く
勧めてくれたから。舞台では恥ずかしいという思いだけが頭を占めていて、そ
れ以外の感想はなかったけれど、踊り終わると、皆が次々に綺麗だったと褒め
てくれた。親も喜んでくれた。こんなに褒められるなんて思ってもみなかった
から、びっくりするほど嬉しくて気持ちよかった。
友人と二人で打ち上げへ行くと、そこで彼女がこぼした言葉に驚いた。「いつ
も自分だけが下手なような気がして落ち込む」と言ったから。覚えも早くスタ
イルも良い、私の憧れるその彼女が、私と同じことを思っていたのだ。さらに
彼女は、私の長所を教えてくれた。セクシーなアイレはないけれど(笑)、元
気でコケティッシュな踊りが似合うと。嫌だった舞台に立ったことで、人生が
変わった。
コンプレックスを持っていたのは自分だけではなかった。長所は伸ばして、短
所は努力でカバーする。美しくなかったのは容姿ではなく、努力の足りない生
き方だった。そんなシンプルな事実を知った。新しいクラスで私は、コケティッ
シュなガロティンと、アイレたっぷりなソレアを選んだ。


(神奈川県 杏奈 34歳)


杏奈



※パセオフラメンコ1月号掲載作品
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