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2017/05
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気付かれてませんでした
 幾度目かのカンテ教室発表会。ソロで、ブレリアを歌うことになった。憧れて
やまないカディスの、大好きなマノロ・バルガスのブレリア。典型的なブレリアの
メロディで始まり、途中から長調に転じて粋に(原曲は……)終わる。3分ほどの
短いブレリアなのだが、聴かせどころが多く、私は燃えていた。ところが、発表
会まで10日ほどに近づいたある日。師匠がのたまった。「やっぱり短いから、歌
ひとつ増やそうか」。……なんですと!? 私の動揺は無視され、新しいブレリアの
歌を短期間で覚えることになってしまったのだ。記憶力をフル稼働し、なんとか覚
え込んだ。新しい歌は、本来のブレリアのひとつめとふたつめの間に入れることに
なった。そしていよいよ、発表会当日。ギターさんはふたり。リハーサルは、きわ
めて順調に終わった。しかし私は知っていた。リハーサルが順調に行ったときは、
落とし穴が待っていることを……。そして本番で、やってしまった。ひとつめの歌
のあと、つい慣れ親しんだふたつめの歌に入ってしまったのだ。気づいた瞬間、
脳内プチパニック。だが、せっかく新しく覚えた歌をうたわないのも惜しい。そこで
ふたつめの歌の後に、しかもギターが長調に転じかけていたにも関わらず、強引
にその歌を入れてみた。終了後、ギターさんに謝りにいった。ギターさん、きょとん
と「……何が?」。……気づかれてませんでした。結局私以外誰も気づいてなかっ
たという、トホホなお話。

(神奈川県 ワカニータ 44歳)



ワカニータ

※パセオフラメンコ10月号掲載作品
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