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2017/04
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バラに秘めた野望
 友人の舞台を観に行った。フラメンコは見るのも初めてだったので、多
少予備知識を入れてもらってから。手拍子はしてはいけないらしい。しか
も手拍子って言わないらしい。バラはくわえない。ドレスは赤だけじゃな
く、黄色やピンクもある。そうなのか。バラを投げて「オ・レィ!」って
叫ぶのを見たかったのに。素人は皆同じことを言うんだよってことまで教
わった。「それ、人前で言わない方がいいよ」とも。
当日、舞台を観たとき、私は泣いてしまった。理由は自分でもわからない。
踊りながらバラを投げてくれると思っていたぐらいの私がフラメンコから
何を感じたのか……。長く入院中の母の容体が悪化したから? 4度目の
流産を経験したから? 先月の3万円分の残業が3百円しかついてなかっ
たから? そんなのどうでもいいじゃないかって言われているような。人
生誰もがいろいろだよって諭されているかのような。目の前で揺れる赤や
水色のフリルからハートがガツンガツン飛んできて胸を刺された。私は気
が済むまで客席で泣いた。帰り道で、私もフラメンコ始めようかな。など
とよせばいいのに思いつきでこぼし、友人をドン引きさせる。そうだよね。
十年以上運動らしい運動もしてないもんね。まずは埃をかぶったヨガのD
VDを引っ張り出すわ。年季の入ったDVDで体を動かし、あれから身も
心も健康になってきたような気がする。そしてつい最近、秘かな野望を胸
に、バラの髪飾りを買ったことは友人にはまだ内緒。

(神奈川県・みやび/37歳)

みやび 20

※パセオフラメンコ4月号掲載作品
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我が家の平和を守るため
 世界でも数人しか掛からないという難病が息子に発覚した。幸い命の心
配はなく、日常生活に多少の手を掛けてあげれば済むくらいのことで、そ
んなに落ち込まずに済んだ。今も頑張って闘病中。それから主人がリスト
ラにあった。とうとうウチにも不況の波が……? こちらも幸い再就職先
は決まったものの、収入は激減し、私がパートに出ることになった。仕方
ない。レッスン代くらいは自分で稼がなければ。これまた頑張って就業中。
そうこうしてるうちに私自身が交通事故に遭い、腕を骨折。車は廃車。よ
くもまぁこれだけ私のフラメンコライフを邪魔する出来事が起こるものだ。
でもいいのだ。足じゃなかっただけ。サパテアードの練習は休まないで済
むものね。
しかしとどめを刺されてしまった。姑に言われた一言。「こんなに大変な
時によくフラメンコなんかやってられるわね」。あぁ、何があってもこれ
だけは手放したくなかったのに。息子のことも、我が家の経済難も、これ
があったからきっと笑顔で乗り切ってこれたのよ。腕の骨折だって、「サ
パテアードが……」なんて発想がなかったら落ち込んでただけなんだから。
 で、考えた結果、内緒でフラメンコを続けることにした。リビングに置
きっぱなしだったファルダやアバニコが詰められたバッグは寝室の奥へ。
週に2回、押入れの奥を探るのは面倒だけど、リビングが片付いたからい
いか(笑)。週に2回の嘘は、我が家の平和のため。お義母さん、ごめん
なさい!

(横須賀市・valor/33歳)

valor20

※パセオフラメンコ4月号掲載作品
実るほど……
 万年初心者クラスから抜けられなかった私が、発表会が苦手だった理由は、単に
下手だったからではなく、気疲れしてしまうからでした。ギターさん、カンテさん
にお茶を出す、楽屋の掃除、関係者さんの案内、などなど。無論その仕事が嫌だと
いうのではありません。お世話になった人や、施設に感謝を込めるのは当然のこと
ですから喜んで! ですが、なんせ頭がまわらないのです。頭の中は、最後の最後
まであわなかったフォーメーションのことばかり。「あそこの足は右からだったか
な」と考えては、お茶をいれつつ足踏みをしていました。
 そんなある日、私は主人の転勤で引越しをしました。新しい地でも、フラメンコ
教室を探し、やはり迎えた発表会というイベント。いつものように裏方仕事をする
つもりでいた私は唖然としました。「裏方は、上級クラスがやる」。余裕がある者
が雑用をした方が良いからという理由らしいのですが、私には衝撃でした。手伝い
を申し入れた私に、先輩方は「もっと上手になったら手伝ってね」と冗談めかして
笑いました。いくら踊りに余裕がある上級者でも、更なるプレッシャーがあったは
ずなのに。「実るほど頭を垂れる稲穂かな」。そんな言葉が浮かぶと同時に、上手
になりたい! 初めて強く思ったのはこの時です。そんな理由で? と自分でも笑
うけど。優しくお茶をいれながら、舞台では力強く踊る美しい姿を見て、私もあん
なバイレになりたいと、いえ、あんな人間になりたいと思ったのでした。

(神奈川県・ロサ/37歳)

ロサ20

※パセオフラメンコ3月号掲載作品
目覚めるアラフォー
 森ガールやらナチュラルメイクやらという言葉が流行する前から、私は顔に塗る
ものと言えば、化粧水と日焼け止めぐらいだった。すっぴんでも十分美しかったか
ら。とまではいかないまでも、素朴が一番! をモットーに、世間様へのマナーと
して眉毛だけをササッと描き、どこへでも出掛けて行ったものだ。
 ところがフラメンコ歴2年が過ぎた39歳の夏、初めての発表会に出場したことで、
私の人生は大きく変わってしまう。この発表会で私はメイクに目覚めてしまったの
だ。付けまつげに、マスカラ、アイシャドウ。頬にもシャドウとハイライト。薬用
リップじゃない、色のついた口紅。初めておもちゃを与えられた子供のように私は
夢中になった。そうか、私って女の子だったのね。それからはもう、出勤前はマス
カラを念入りに。アイラインも忘れずに。眉毛が一発で上手く描けた日なんかは、
一日ご機嫌で過ごせるし、気持ちが上がる。仕事の効率も上がる。そしたらアレア
レ? もしかして恋愛運まで上がって来ちゃった? なんだか急にモテるじゃない?
 「人間は見た目じゃない、中身なのよ」って先日亡くなったおばあちゃんが昔よく
言ってたけど、あれって嘘だったのかなぁ。おばあちゃんの教えを守って、花より
だんご、男よりだんごで生きてきたのに……。おばあちゃん。私、これからは見た目
も磨くよ。フラメンコで習ったお色気ビーム視線を振りまいて、胸上げて、あご引い
て、素敵な王子様をゲットするからね。

(神奈川県・ベロニカ/40歳)

ベロニカ20

※パセオフラメンコ2月号掲載作品
貧乳は世界を救う
 2000年問題で人類滅亡の危機だと大揺れに揺れていた頃、私の家では、私の
乳の問題で大きく揺れていた。私の右乳に「がん」が見つかったのだ。そして
私の右乳(貧乳)と引き換えに、地球は無事2000年を迎えられたのだ。
ビバ! 貧乳! ただ、それからが大変。右手が全く挙がらない。こりゃなん
とかせにゃいかん! と決意し、「手を挙げて踊る=フラメンコ」ということ
で安易に入門した。ダンナが「もともと無い乳でよかったやん。取る前と同じ
でやで」と、笑い飛ばしてくれたおかげで元気も出た。わが貧乳に悔いなし! 
右手が挙がるまでフラメンコ頑張るぞ! と堅く決心したんだった。
 でもやっぱり苦しかった。いつまでたっても上がらない右腕はコンプレックス
だった。でも「大丈夫、大丈夫、できるできる」と私の気持ちをプラスに持って
行ってくれる先生のおかげで今の私がある。感謝してもしきれないくらい私に
とっては神のような人。ある時先生に「ごめんね、手があがらなくて。皆と同じ
にできなくて」と言うと、先生はびっくりして「なんでなんで? それ個性やん! 
大切にせなぁ」と言ってくれた。「皆と同じように踊らなあかん」という思いか
ら解放された瞬間だった。嬉しくて涙がとめどなく溢れた。そうだ。フラメンコ
はリハビリで始めたんだった。楽しまなくてどうする? 忘れていた決意を思い
出した。ビバ! 貧乳! 右手が挙がるようになるその日まで! 私の貧乳リハ
ビリメンコ生活はこれからも楽しく続いてゆく。

(神戸市・ちぃちゃん/年齢ひみつ)

ちぃちゃん 20

※パセオフラメンコ1月号掲載作品
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